sandrutanの日記

吐き気止めの副作用が、吐き気だった。

飯田くん

中学校の4入学式を迎える前に、小学校6年生の端くれの小生意気な子供達が240人ほど集めれた。

 

これは、そんな中学校の入学式前の説明会にて出会った飯田くんの話だ。

 

彼とは偶然にも、説明会の時に前の席に座っていた。開口一番、「おれ、スマブラ全クリしたんだよね」と、当時出たばかりのゲームの全クリの自慢話を聞いたのは良い思い出である。

 

ちょっとコアな人間の特徴的な早口で、僕の知りもしないゲームの裏コマンドを言われるわけである。ただ、流行っていたゲームでもあるため、周りの初対面通しのニューヤングstudentsの諸君は飯田くんのゲーム談話を踏み台に次第に仲良くなっていくのであった。

 

今思えば彼の功績は、中高6年間でそれだけだったのかもしれない。

 

偶然にも中学入学後に飯田くんと同じクラスになった。飯田くんはいわゆる普通の子ではなかった。遊戯王のチャンピョンだったり、デュエルマスターズの関東代表だったり、家でゴキブリを飼いならしていた。そんな彼に僕は次第に観察欲が生まれていくのであった。

 

人間の多様性を知ったのだ。

 

授業中には寝て、成績もなかなかに悪く、先生に当てられれば何かと言い訳をして鮮やかに交わす様子は圧巻の一言である。

 

さて、そんな飯田くんには印象的なエピソードが山ほどあるが、彼の欠席理由はぐんを抜いて宝石の様に光輝いていた。そしてこの話の最高のトッピングは、飯田くんが自分の携帯電話から父親のふりをして欠席連絡を学校にすることにある。

 

毎朝の朝礼の時に石田くんがいなければ、クラスの半分は先生が飯田くんの欠席理由をいまかいまかと発表するのを待ち望んでいたわけである。

 

何かと休みがちな彼も、山形と大分の両親の一族が定期的にお亡くなりになるというご不幸も底をつき、とうとう観念してまともに学校に登校を始めた。ただ休むことには休むので、欠席理由は非常に面白いものばかりだ。

 

そして、彼の欠席理由には明らかながんばって嘘のパターンと、本当に事情があって休むパターンの2通りがあることが判明した。しかし、彼の抱える事情がとても中学生離れをしていた。

 

飯田くんの欠席理由(本当の事情編)僕的ベスト2を発表したいと思う。

 

 

 

①「家でゴキブリの入ったタッパーをひっくり返したので休みます。」

 

彼の家ではゴキブリを飼っている。なんでも、最初は昆虫ショップで購入したゴキブリ達が大繁殖をしてしまい、1メートル四方のケースにゴキブリを飼っていたらしい。そして、家に現れるゴキブリでさえも彼の手にかかれば優しく包まれて外来種だらけのゴキブリけーの中に打ち込まれるのだ。

 

そんなケースがひっくり返ったのというのだ。阿鼻叫喚である。

 

そのあまりにも悲惨な状況に、先生とクラスの全員はドン引きしながら彼に同情した次第であった。

 

 

②「デュエルマスターズの関東大会は部活と同じ公欠扱いになりますか?」

学校公認の正式な部活動は、どうしてもの大事な大会が学校の出席日と重なってしまった場合、致し方なく式に席するとこを許される。それが公欠。それは欠席日数にはカウントされず、社会に出てから手に入れる有給休暇に似たものがる。

 

公欠という大義名分を手に入れた人間は尊敬され、賞賛されるのが中学生である。

 

さて、それをどう履き違えたのか、あろうことか飯田くんはデュエルマスターズの関東大会に公欠が出るのではないかと先生に相談をしたのだ。

 

もちろん結果は、先生にいなされて終わるということになったのだが、そんな弊害は飯田くんにとってはゴキブリケースをひっくり返したことに比べれば大したことはない。

 

飯田くんがはある日、デュエルマスターズの関東大会のため欠席という伝説を残すこととなったのだ。

 

これにはびっくりである。みんなびっくりだ。

 

残念ながら彼の構築した火属性デッキは準優勝ということに終わり、しかしどこか"やりきった感"をだしていた。

 

彼は何をしているんだろう。